UVPの構文を作成する【3】

UVPの構文を作成する
新聞広告を見て中小、大手のやり方を見極めることを日課とすることで、通販脳を身につけることができた平澤。西村の売れる通販事業を立ち上げるためのコンサルティングは次のステップである“UVPの構文を作成する”へと進んでいく。より高度になってくるコンサルティングに果たして平澤はついていくことが出来るのか?

●西村:今日の新聞見た? 

●平澤:はい。すごかったですよね。

●西村:だよね。ほとんど化粧品とか健康食品の広告ばっかりだったもんね。
じゃあ、前回の「通販脳を鍛える」ステップの復習も兼ねて、今日の新聞広告の中でいいなぁと思う広告と、いいなと感じたポイントをそれぞれ3つ挙げてみてくれる?

●平澤:わかりました。そうですね。私はこの広告がいいなぁと思いました。
理由は、人が出ているし、ゼットの法則になっているし…。

あともう一つは「てっぺん、分け目、見られてる・・・」みたいに、薄毛の悩みが分かりやすく書かれているし、そういった点でいい広告だなと感じました。

●西村:いいね。センスがいいよ!

●平澤:あとはこういった広告が分かりやすくていいなと思いました。
説明があって、記事広告みたいにパッと見て「ビフィズス菌の広告」だと分かる点がいいですよね。

●西村:いいですね。合格ですね。通販脳がしっかり身についていてすばらしい。
では、なんで合格なのかを説明しますね。

実は私のやっている10億通販塾の上にガンガン売り上げを作っていく“道場”っていうものがあって、そこのメンバーの人たちが、実はこの広告をベンチマークしているんですよ。

まぁ、この広告には機能性表示があるから、その部分を変えなければいけないんだけどね。
今日の広告の中では、この育毛剤の広告が群を抜いて他者が言ってないことを言ってるんですよ。
どの部分だと思いますか?

●平澤:うーん。どこだろう…。

UVPの構文を作成する

●西村:いい? 育毛剤はいわゆるレッドオーシャンですよね。競合他社がたくさんいる市場ですよね? 
実は通販をやる上で競合の多いジャンルから商品を選ぶことは正しいんです。

重要なのは、そこから、どうやって価値に転換して、他者が言ってないことを言っているかを考えることなんですよね。
実はこの育毛剤の広告には他社が言っていないことがあるんですよ。どれだと思いますか?

●平澤:うーん。1つが写真の女性が嬉しいと言っている表現。
もう1つが、てっぺん(頭頂部)にフォーカスされている育毛剤の広告ってあまり見たことがないような気がしたんですよね。

●西村:そうなんですよ。(他社が言っていないのは)てっぺん(頭頂部)なんですよ。
薄毛に悩む女性というのは、実は電車で座っていて、男性から頭のてっぺんを見られるのが嫌なんですよ。

だから、てっぺん(頭頂部)というキーワードは、悩んでいる人からするとめちゃくちゃ刺さる事なんですよ。
実はこれを全面的に言っている会社というのは実は今無いんですよ。

極端な事を言うと、てっぺん(頭頂部)専門のシャンプーやリンス、育毛剤であっても、てっぺん(頭頂部)という言葉は誰も言っていないのが現状なんですよ。てっぺん(頭頂部)とう部位は。
頭皮という言葉は使っているかもしれないけれども、てっぺん(頭頂部)とは言ってないんですね。

●平澤:てっぺん(頭頂部)という言葉を使っていないということですか?

●西村:そうなんですよ。これが、今日のこの広告の中で一番いいと思うポイントですね。
それにしても今日の朝刊は、本当に広告ばかりだよね。なんでこんなに広告が多いんだと思う?

●平澤:そういう時期なんでしょうか?

●西村:通販の場合には、4月から翌年の3月までを1年間とすると、4月から9月までを上期、9月から4月までを下期と呼んだりするんだよね。
今回下期の10月からスタートしていて、10月のうちちに一気に広告を打たないと、期の後ろになって広告を打ったらだめなんですよ。
通販は基本的に期の最初に打つのが基本なんですね。なんでかわかります?

●平澤:うーん。

●西村:10月に打つのはいいけれども、11月とか、12月に広告を打ってはいけないんですよ。通販では。
3月に広告予算の消化のために打つのはOKなんですよ。なんでかわかります?

●平澤:うーん、広告費が上がるからかな・・・。

●西村:いえ、広告費は上がりません。

●平澤:上期の初め、下期の初めに広告を打っておかないと、後々修正できなくなるとか?

●西村:この理由は、もう少し論理的に説明できるんだよね。何が論理的かと言うと、
小さい会社が通販で成功する(売れる)ためには次の3つの基準があって、3つの数字によって売れるかどうかが決まるんですね。

UVPの構文を作成する

小さな通販会社が成功するための3つの基準
・売れる通販指数が2,000を超えている
・メディアレーション(売上÷広告費)が0.8以上
・もう一つを教えてください

●西村:2番目のメディアレーションと言うのは売上を広告費で割ったものなんですが、ここで1つ質問。
たとえば、1つの商品に対して10万円の広告費かけたとしたら、いくらぐらいの売上があればいいと思いますか?

●平澤:広告費が売上の10%だと仮定して100万円ぐらいですかねぇ…。

●西村:もっと普通の感覚で考えてみましょうか。要は10万円先に広告費をかけたのであれば、最低どれくらい売上が欲しいですかということです。

●平澤:あー。最低10万円?

●西村:そう、10万円。損をしないためには10万円は最低売上が必要な訳ですよね。
でも、10万円の広告費を使って、10万円の売上があっても、経費は使えないし、全然おいしく無いじゃないですか。
実はこれが、通販の場合は8万円でもOKなんですよ。普通のビジネスであれば、10万円かけたら10万円の売上、100万円かけたら100万円の売上が必要じゃないですか。
先ほど平澤さんが「10万円かけたら、100万円くらいの売上がないとだめですよ」と言われていたと思うんですが、通常のビジネスであればそういう感覚だと思うんですよね。

でも、通販の場合には、10万円の広告費をかけて8万円の売上があれば、これは年商1億を突破するビジネスと言えるんですよ。
なんでだと思いますか?

●平澤:・・・リピートがあるから。

●西村:そう!リピートがあるからなんです。リピートがあるということは、売上は次の表のように上がってくるんですよ。

●平澤:なるほど。

●西村:つまり、一番最初に売れたものが何回転という風にリピート購入されていく訳なんです。
10月に初回購入してくれたお客様が3月までの間に1〜2回転リピートしてくれる想定で広告を打つので、例えば3月に広告を打ってしまったら、たとえ売れても次の期の売上になってしまいますよね。

その期の売上を最大限のばすために、期のはじめに広告を打たないといけない訳なんですよ。だから期の始めの10月に広告が多くなるという訳なんです。
これを逆手に取ると、上期終わりの9月、下期始まりの10月の新聞の広告を見れば、その会社の元気さが分かるんですよ。

まとめると、リピートを狙う広告は期の始めの10月に打つのが基本というわけですね。
通販を始める前には、こういった商品の売上の波を想定する必要がありますね。

●平澤:なるほど。

●西村:話を戻すと、今日のたくさんある新聞広告の中から、この育毛剤の広告を選んだのは合格です。
それに、このストレッチマシーンの広告も合格です。限定性、Zの法則あるしね。

もう1つのビフィズス菌の広告は特許とか機能性表示とかがあって、真似するのが難しいんだよね。でも一箇所だけマーケティング的に読ませる工夫が凝らしてある箇所があるんだけど、どこか分かる?

●平澤:権威ある先生の写真が載ってるところですかね・・・?

●西村:うーん、見込み客にとって先生がすごかどうかは関係がないよね。売る方にとっては、権威とか実績とかが重要なってくるけれども。
先生がすごいからって買うとは限らないよね。

●平澤:うーん、あっ、乳酸菌はわずか0.1%というところですか? 読み手が見て「えーそうなの」って感じになるギャップを書いているところですかね?

●西村:そうそう。実はギャップ(=常識の否定)を書いているわけなんですよ。
では、どんな常識を否定していると思います?

●平澤:うーん、腸は乳酸菌が大事だと一般的な常識として言われているけど、この広告ではビフィズス菌が大事といっているところ?

●西村:そうです。そんな常識を覆すギャップ(=常識の否定)が書かれている点が、この広告の読ませる工夫なんです。

●平澤:でも、私自身が、腸に乳酸菌がいいのか、ビフィズス菌がいいのかの知識がなかったから、パッと見て気づきませんでした。

●西村:そういうターゲティングがされているわけなんですよ。シンプルに考えて、このギャップが響かない人はターゲットじゃないということなんです。
でも、ヨーグルトとか毎日食べているような、腸内環境に悩んでいる人は、もう乳酸菌を取らなあかんということをすでに分かっている訳なんですよ。

でも中には乳酸菌を毎日取っているはずなのに、お通じが来なかったり、腸内環境が改善されない人がいる訳です。そんな方がこのギャップを見たらぐさっと刺さります。それが脳内SEOです。
つまり、乳酸菌というレッドオーシャンの市場で、「実は乳酸菌ではなくてビフィズス菌なんですよ」と言っていることが非常に重要なんですね。

●平澤:なるほどね。

●西村:さっきの育毛剤の広告も一緒です。
ターゲットじゃない人にとって、てっぺん(頭頂部)とか響かないですよね?
一般人が見て「ふーん」と流してしまうギャップであっても、悩んでいる人からはバッチリハマるんです。

●平澤:なるほど、そうなんですね。

●西村:ということで総合的に見て今回のワークは合格です。
では、次に早速今日の本題の“UVPの構文を作成する”ステップに入ってい行こうか。今日のは結構難しいよ。
まず、最初に理屈の話をするね。

●西村:次のステップでは、売れる通販フォーマットというのを作るんだけど、このフォーマットって言うのが次のA、B、Cの3段階になってるんだよね。

A B C
どのように言うのか
女性の声を拾う必要がある。
商品(お宝キーワードを連想させる)
誰が言うのか
ストーリー
お宝キーワード
何を言うのか(UVP)
■UVPの構文を作る
「○○○にとって△△△に
なるための×××のサービス」

●西村:それで「A故にB」「B故にC」、つまり「この商品はこうだよね」という構図を作っていくのがこのステップなのね。その中でもCのところがUVPになっているんだけれども、この構文を作らなくちゃいけないんだよね。

一体どんな構文を作らなきゃいけないかと言うと、「○○○にとって△△△になるための×××のサービス」って言う風に、お客様の声からこの構文を作って行かなければいけないんですよ。
どういうことなのかというと、通販はこれからやるのでもちろんお客様の声は無いと思います。しかし、商品そのものの特徴だけ言っても、実はモノって売れないんですよ。

実は「会社を大きく見せる」ことが売上げアップにつながるんですね。
嘘をつくわけでは無くて、お客様は、実は特定商取引法の概要なんかをよく見てくるんですよ。

会社を大きく見せることによって結果として、それがブランド構築に繋がってくる訳なんです。

ですから、売れる通販を構築するためには、商品のすごさをアピールするよりも、会社を大きく見せることに力を入れていく必要があるんです。

そのためには、今平澤さんが自分でやられている事業のお客様の声、おそらく20件以上ある中から、この「○○○にとって△△△になるための☓☓☓のサービス」に当てはまるキーワードや文章をピックアップする必要があるんです。
実際に、平澤さんが今やられている事業のお客様の声の中から、実績とかこんな効果があるとかを除いて、「何に満足しているか」「どういう風に見られているのか」を抜き出すという作業を今からやっていきます。
今、お客様アンケートってありますか?

●平澤:はい。あります。

●西村:ピックアップ作業をやる前に実は重要なことがあるんです。
この構文はこれからやる通販に活かすために作るものなので、例えば、女性用の商品を扱いたいと思ったら、女性の声を女性を使う必要があります。

たくさんあるお客様の声の中から、平澤さんにお仕事を依頼して「こんな効果があった」「こんな実績ができた」などを除いて、「いい!」と言われていることを探り出す必要があるんです。
例えば「パッと席についたら、今流行りのお菓子と紅茶をすぐに出してくれた」など、普通ならば見逃してしまう、気づかなくても良いと言われる声を探りだす必要があるんです。

●平澤:なるほどですね。

●西村:まずはこれを20件集めるというのが構文を構築するコツなんですよね。一体なにをやっているのかというと・・・。
「本業でもこういう事をお客様から言われています」というお客様の声から「なぜ、こういうことを私たちは言えるのか?」というストーリー(B)を作るためなんです。

Bのストーリーは次の4段構造で作るのが基本です。

ストーリーの4段構造
①ピンチな状態
②新しい目標・ビジョン
③今まで見えていない敵
④必殺のキャッチフレーズ

例えばヒトラーはこの4段構成で次のようなストーリーを作ったことで、あれだけの群衆を巻き込むことができたと言われているんですね。

①ピンチな状況
「ドイツは戦争に負けました。
フランスとイギリスの連合軍によってドイツは負けました。
さらに1929年に起きた世界恐慌の影響でますますドイツは貧しくなりました」

②新しい目標・ビジョン:
「でもドイツ人には高い誇りがあって、高き理想があるんだ。ゲルマン民族として!強いドイツを取り戻そう」

③今までに見えていない敵:
「国民のみんなはドイツを負かしたフランスやドイツが悪いと思っているかもしれないけれども、実際に悪いのは実はナチスなんだ」
※新しい目標やビジョンに群衆を振り向かせるために、ヒトラーは共通の敵を作りました。

④必殺のキャッチフレーズ:
「ハイルヒトラー」

※「みんなこっちに行くぞー!」というキャッチフレーズが「ハイルヒトラー」です。これがあって群衆は演説でヒトラーに巻き込まれていったと言う訳です。

これは、いわゆる神話の法則(ヒーローズ・ジャーニー)と言われていて、これを作ることでBのストーリーが出来ます。

Aは商品についての情報なので、あと作れば問題ないです。この“UVPの構文を構築する”ステップで一番重要なのが、Cの「何を言うのか?」を「○○○にとって△△△になるための×××のサービス」ということを、お客様に言われているということを作ることなんです。

●平澤:すごい難しい・・・。

●西村:そやろ? ここからはお客さんの心の声を拾う作業やから、今までやってきたみたいに新聞広告があって、具体的に答えがある作業ではないんよね。
ここで、だいたい中途半端な覚悟の人は淘汰されていくね。
僕のやっている10億通販塾でも、苦労している生徒さんがたくさんおるね。

●平澤:そうですよね…。なんか急に難しくなった感じ…。

●西村:一つコツがあるとすれば、お客の声で「これすごいなぁ」と思うものを探すことやね。まぁ、その前に女性向け商品なら、女性のお客様の声を収集する必要がある訳です。
「これすごいなぁ」と思うお客様の声を探って、さっきの「○○○にとって△△△になるための×××のサービス」という構文の○△×のところを埋める作業をするということなんです。これがUVP。これを作り込まなければいけないわけですよ。

心の声ですよ。ちょっと深く言うと、価値観とか世界観の話ですよ。
「どういうところでお客様の琴線に触れたのか?」をお客様の声から読み取っていく必要があるわけですね。

「こういうことで悩んでて、こういうことを解決した」とか、それを探す作業なんです。

UVPの構文を作成する

●平澤:お客様の声が20件ない場合や取っていない場合にはどうすればいいですか?

●西村:色々なお客様に声をかけたり、これからアンケートを取ったりしながら、頑張って20件集めてみてください。

●平澤:難しいですが、やってみます。お客様の声は、ファン度の高い人からとった方が良いんですか?

●西村:そやね、どう思われているかが大事やから。あと、大事だから何度も言うんやけど、効果や実績にフォーカスしたお客様の声は除いてね。
効果と実績しか求めてません、ていう人もいるけど心の声は違ったりするから。

●平澤:元社員や元アルバイトから取ったらダメですか?

●西村:そうだね。スタッフはダメ。基本的にお客様から取ることだね。
そして、次のように、お客様の声を10件を使って一個のUVPの構文を作る。10人ではなくて10件ね。

「○○○にとって→3件のお客様の声」
「△△△になるための→6件のお客様の声」
「×××のサービス→1件のお客様の声」

たとえば「席についたら、今流行りのお菓子と紅茶がすぐに出てきた」「女性だからこそできる細かい気配りを感じました」などのお客様の声があったとすれば、それを使って、次のように構文を作ることが出来るよね。

「女性にとって、細かい気配りが出来るようになるための、サービス」

このように、お客様の声の中から構文の○△に当てはまるワードを見つけることが今後広告で使うキャッチーな言葉につながってくるわけなんです。

●平澤:なるほどですね。じゃあ、私が事業を始める前に勤めていた会社で私に直接いただいたお客様の声は使えますか?

●西村:あまり良くないね。だからこの通販フォーマットを完成させることは、サラリーマンにはどうしても難しいんだよね。担当だと、やはりその事業に思い入れもそこまで無いだろうし。できれば平澤さんの個人事業へ寄せられたお客様の声を20件集めた方がいいね。

●平澤:そうなんですね。ちなみに私は女性向けの通販をやりたいと思っているんですが、一部男性のお客様の声を使ってはダメなんですか?

●西村:うーん。男性でも良いけど、なるべく女性の方が良いね。なぜなら、一貫性が薄くなるからね。
●平澤:なるほどですね。どうしようかな、今からお客様の声を少し取り足せば20件ぐらいにはなるかも。

●西村:それじゃあ、次のコンサルティングまでの間に、お客様の声を集めて、実際にUVPを作ってみよう。これ、宿題ね。

●平澤:はい。難しいですが、何とかやってみます。

●西村:じゃあ、今日のコンサルティングは以上。

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